きっと、うまくいく

そんなアーミル・カーンが出演した映画が、立て続けにインド映画史の記録を塗り替えていったこともあり、彼が事実上のトップ俳優と言える地位にまで上り詰めているのは間違いないでしょう。そんな彼を日本人が初めて知ったのはチェイス! と思うかもしれませんが、実はこれよりももっと前に放送されていた作品があります。代表作の1つで、2009年に制作された作品で当時は公開当初からその斬新な内容が多くのファンを呼び寄せた『きっと、うまくいく』という作品が挙げられます。

日本では2013年に公開された作品ですが、当時はなんと顧客満足度調査においても堂々の1位を記録し、更に自国の日本アカデミー賞においても外国映画の中で最も優れていると評価されたほどだ。この時はアーミル・カーン本人は来日こそしなかったものの、映画フリークの間でインド映画といえばの代名詞を受けた人物と見て違いない。

ではこの作品が一体どういう内容のものなのかと言うと、チェイス! とは違って青春コメディ映画というジャンルに値する、実にインド映画の良点を盛り込んだ快活な映画となっています。

作品概要

ではきっと、うまくいく、という作品について簡単に説明していくと、物語はかつて大学で三バカと揶揄されていた同級生たち三人を主軸として展開していく。学生時代、常に一緒に過ごしていたはずだったが、その中でも中心人物が1人いた。彼は一風変わり者のではあったものの、学業成績は大学でも首席を誇り、将来を嘱望されていた程だ。けれど10年という時間が経過した後、そんな順風満帆な生活を過ごしていくと考えられていた仲間に、ある秘密が隠されていることを三バカの残り2人は知ることとなる。

学生時代に過ごした思い出を振り返りながら過ごした時間を懐かしみつつ、秘匿され続けていた秘密を迫っていく内容がウリとなっています。シリアスみたいな展開を想像するかもしれませんが、そんな気配はあったとしてもすぐかき消されてしまう。それというのも、この作品はインド映画の典型とも言えるド派手なダンスシーンがこれでもかと盛り込まれている。そのため、例え言語のまま翻訳されていなくても、思わずステップを踏みたくなるような展開が魅力だ。

見ずして魅力は伝わらない、とでも言えばいいのか。そんな作品の良さは実際に鑑賞して体感すべきでしょう。ただこの作品は同国の問題点を浮き彫りにしている部分を持ち上げているのも特徴となっている。

インド国内の事情

何処の国でも取り上げられますが、教育と若者の問題はいつになっても出てきます。日本でもそうですが、特にインドでは教育問題としてかつて起こった『衝撃! カンニングは家族ぐるみで行うもの!!』という特集がテレビで報道された際には日本では考えられない事態を目撃しました。それというのも、教育現場ではカンニングが常態化しており、将来のことを思うならするのは当然だと正当化されているところ。

またある試験が行われた会場では、進路の先に収入が安定した職につけることを暗に意味していた。試験会場は4階建ての建物で行われたが、そこに壁をよじ登ってでもカンニングペーパーを手渡そうとする親の姿が、さながらスパイダーマンの如く堂々と行ったというのです。

インドの国情を考えても、これはどう見ても正当な行為とは言えないのは誰が見ても明らかだ。しかしそれだけ試験1つでゆくゆくの収入も定められてしまい、将来的に若者が自殺する社会になってしまうという恐れもあるという。インドもまた、例外なく学歴社会であることが優先され、良い学校を出ていれば出ているだけいい仕事に就ける。日本でも現在はそうした面が出ているものの、インドほどではないだろう。そんな国情の惨状を浮き彫りにした作品となっている。

しかし内容は

ただインド映画ですから、社会問題化している点を取り上げたからといってシリアス調の物語にはしていません。それこそとても楽しく劇中で活躍する主人公たちの姿が所々で見られます。中でもアーミル・カーンが主演している役柄は、学歴重視の社会と大学に対して疑問を持ち、自由奔放に生活していくことが一番の自由だと本気で信じていた。

度々学長たちと衝突して授業から追い出されるも、それでも柔軟に別の授業に参加するなどして成績を落とすこと無く、三バカの2人を牽引する存在として愉快に過ごしていたのです。暗くなるような場面も次に見た時には驚くくらい明るく振舞っているのもインド映画の魅力と言えます。

色々と凄い

このきっと、うまくいくという作品がインド映画の記録を塗り替えたという点もそうですが、それ以上に凄いと言われている事があります。まず俳優陣についてですが、当時2009年においてアーミル・カーンは44歳、若くても大学生を演じる事となる。正直いって無理があるだろうと思うが、若作りをするために毎日1日あたり4リットルもの水を摂取して、瑞々しい肌にしたという。他の2人も30代後半近い年齢だったらしいが、妙に違和感がないのは何故なのかと見ていて何度思ったことか。

2016年に日本メディアで初登場

同作は2016年の1月に地上波で放送されています。この時には日本でも人気が高い声優陣を多数起用して放送されていただけに、地味に知っていれば見てみたかったと、執筆しているときに痛感してしまう。それだけ高い評価を受けていたというのもあるが、実際に演じた声優たちはこんな楽しい映画ならもう一度演じてみたいとまで言わしめたほど。

実際ミュージカル調の劇中で、ある意味良いステレオタイプのインド映画作品となっている点からも、多くの人に感動と笑いを与えたという点で高く評価されたインド映画の中でも代表作と言われるものだ。