迫力を体感するには映画館しかない

そんなインド映画を楽しむには、映画館でのスクリーンで大迫力に楽しむ方法が一番だ。自宅で見るのもいいが、モニターの大きさや音の反響などを踏まえると物足りない部分があります。だからこそ自宅でテレビを見る機会がなく、また見ても劇場ほど楽しめないというのが現地の人はそうみなしているのかもしれません。Blu-rayなどのソフトを購入しても、実際劇場ほど楽しめるかと言われれば、確かにそうでもないと感じる部分もあります。仕方のない事ですが、インド映画の場合は特にそれが顕著に出てくるようだ。

産業としても異質だが、インド映画で知っておいて損はないこととして最後に取り上げておきたいのが、何を外しても語れない『歌とダンス』です。これは言語に関係なく、『映画=娯楽』と考えているインド映画だからこその魅力がつめ込まれたものだ。そのためヒンドゥー語を用いた作品だけでなく、インド映画と名のつくものは基本的に歌とダンスが唐突に盛り込まれています。それを見たいがために劇場鑑賞をする、という人もいます。

1つの魅力であり、最大の見せ場でもある

インド映画がご都合主義の、笑えるほどの勧善懲悪な世界観に仕立てられているので、行き着く結末は余程のことがない限りハッピーエンドだ。また物語は度々世界観と都合で脚本無視が常態化しているのもありますが、何をおいても外してはいけないのが歌とダンスの2つだ。『チェイス!』でも作品のシリアスな展開とは打って変わって冒頭で迫力あるタップダンスを披露したり、『きっと、うまくいく』では上半身裸で腰タオル一枚身につけたおっさんが何人も公共の浴室で華麗にダンスしている。前者はサーカス内だが、後者は中々シュールな状況だ。NGシーンがあれば局部がはだけてしまった、とかだろうか。

シリアス調の少ない映画が多いからこそ、歌とダンス無くしてインド映画というものは成立しません。

日米の映画作品において

日米で公開されている映画でも、歌やダンスと言った物を主軸においた世界観はたまに見かけます。ただ日本の場合はそれを最大の魅力とせず、そうした活動に汗水流して励みつつ、主人公とヒロインがアツアツな展開になるというのがおなじみだ。どちらかと言えば恋愛要素のオマケみたいな扱われ方だ。対してアメリカなどの作品では恋愛要素も外さず、かと言って歌とダンスも忘れていないといった二つの内容を盛り込んだ作品もあります。最近はあまり見かけなくなっていますが、インド映画とくらべても盛り込み方は歴然の差がある。

文化による差異で映画への情熱をどう傾けるかの違いでしかないのですが、それを理解していないとインド映画のことを『時代錯誤の産物』だと思ってしまうという。それについては個人的にも否定出来ない、なにせあまりに突拍子もないところからダンスや歌が始まるから驚く以外にリアクションが取りづらいのも事実だ。慣れていればそうならないかもしれないが、自国の映画に慣れていると他国の映画を見てもイマイチ、と思う人はどうしても出てきてしまいます。

変革も生じている

だがインド映画のウリである歌とダンスについては、色々と変革が求められているとも言われています。その中にはヒンドゥー語のボリウッドでもダンスはしているが、俳優は歌を歌わない事も増えてきているという。『歌のBGM化』とも言われていますが、こうしなければインド映画が世界市場で他国の作品と拮抗することが出来ないとも言われているほど。

独特な魅力を放つのもありだが、もし本格的に世界中の人々を虜にしたいと考えているのなら自国照準で制作するのではなく、世界の映画市場を見て作っていかなくてはならない。

魅力は魅力として残すべき

インド映画の歌とダンス、その魅力が十二分に伝播されて普及した地域といえば、あまり広がってはいません。日本にインド映画が流れてきたのも、もしかしたらそういう映画が増えて欲しいと意図してのことだったのか。一時期は確かにタップダンスを唐突に披露する映画もありましたが、日本国内で歌とダンスを主軸に置くというストーリーというのは実質的に不可能だ。どうしてもサブ要素として、美男美女の俳優がイチャコラせっせとラブなストーリーが強調されてしまうので、可愛さや格好良さという印象しか残りません。ぶっちゃけそういう作品しか作っていないかったからこそ、日本ではデスゲームなどをテーマにした、これまたガラパゴス的な進化形態へと派生してしまっている。そういう意味ではインド映画よりも重傷だ。

日本の映画産業と比べれば、インド映画はこれからの展望次第でまだまだ世界の映画と十分に張り合えるだけの可能性を内包している。日本の縮こまって閉鎖的な邦画よりも、明らかな差だ。未来の兆しと見れば、日本よりもこれからはインド映画に注目して行くと日本の映画産業がどう変革していけば良くなっていくか、分かるかもしれませんね。